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アトピー性皮膚炎の治療のゴール〜TARC検査について
アトピー性皮膚炎は患者の多くがアトピー素因をもっていて慢性的に増悪と寛解を繰り返しますが、症状の程度に応じた適切な治療を行うことにより症状がコントロールされた状態に維持されると自然寛解の期待できる疾患です。
このためアトピー性皮膚炎の治療のゴールは「アトピー性皮膚炎のない人と同じような生活ができて、軟膏を塗るとき以外はアトピー性皮膚炎があることを忘れていられること」です。この状態を維持することでアトピー性皮膚炎がはじめて自然寛解へ向かっていくのです。
アトピー性皮膚炎の治療はステロイドと保湿剤の外用が中心です。これにより皮膚症状が改善し,見た目にも自覚的にも症状がなくなればゴールに達しているということになります。 しかし、近年特に成人30歳以上の有病率が増加している上に、重症化・難治化傾向が問題になっており、重症度に応じた適切な治療の重要性が改めて指摘されています。

アトピー性皮膚炎の重症度の判定にTARC(Th2ケモカイン)検査
TARC(Thymus and activation-regulated chmokine)は、白血球走化作用を持つケモカインの一種で、過剰産生されるとTh2細胞を病変局所に引き寄せ、IgE抗体の産生や好酸球の活性化が起こり、アレルギー炎症反応を惹起すると考えられています。とりわけ、アトピー性皮膚炎において特異性がみられ、重症になるほど著明に上昇し、軽快に伴い減少します。
このためTARCの測定はアトピー性皮膚炎の病態を客観的に数値化することで重症度評価として有用です。
従来はアトピー性皮膚炎の重症度の判定には視診と自覚症状でした。
確かに皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎は内臓疾患と違って、医師だけでなく患者自身でも目で見て重症度を判定することができるのですが、TARC(タルク)検査が登場して見た目に症状がなくなっていても重症度が高くまだ治療のゴールに達していない場合があることが分かってきました。
TARC検査を定期的に(通常月1回)行うことで、重症度を見ながら治療をすると 塗り薬をしっかり使用して皮膚の炎症がおさまるとTARC値は下がりますが、その後再び皮膚に炎症が起こるとTARC値は上がります。
TARC値が正常化する前にステロイドの外用を減量すると症状は悪化します。 つまり見た目の症状で判断せず、TARC値で判断することが重要なのです。
そして医師の指示どおりに根気よく塗り薬を使用すれば、皮膚の炎症が軽くTARC値も上昇しない期間がだんだん長くなりやがて塗り薬の量を減らしても皮膚の症状があまり悪化せず、快適な日常生活を送れるようになっていきます。

検査方法:採血
正常値(pg/ml)
小児(6~12ヶ月):1367未満
小児(1~2歳):998未満
小児(2歳以上):743未満
成人:450未満

●アトピー性皮膚炎の重症度判定の目安(参考)
・成人
血清TARC値 700pg/ml未満:軽度
血清TARC値 700pg/ml以上:中等症以上

・小児
血清TARC値 760pg/ml未満:軽度
血清TARC値 760pg/ml未満:中等度以上

ステロイド外用戦略
すでに当院ではFTU(Finger Tip Unit)とという単位で外用することをお勧めしています。 下図のように1FTUは自分の人差し指の第一関節まで出した軟膏量で、手のひら2枚分の面積に塗る量に相当します。
これを朝、夕 1日2回、病変部位に塗布しTARC値が正常化するまで皮膚症状をコントロールします。

TARC値が正常化した後 TARC値が正常化してから、ステロイドの減量を開始します。 減量の最初は1日1回の外用とし、TARC値を見ながら隔日から週数回の外用へと減らしていきます。
こうしてTARC値を正常に維持できれば、アトピー性皮膚炎の治療のゴールに達したことになりこの状態を続けることで自然寛解を期待できます。